すてきなもの、ちょっと挙げてみる話
20代くらいのスーツを着たお兄さん、寝癖なのかそういう髪型なのかわからないけれど、アホ毛みたいな束が、風にふわふわ揺られてる。
かわいいなあと思って、ちょっとにやにや。
歩道橋が、車通るたびにぐわんぐわんと揺れてて、なんか不安なんだけど、どこかギャグめいていて、ずっと見てしまう。
揺れるものが、好きなのかもしれない。
銀行で、4歳くらいの女の子が、お母さんと話してる。
「ねーねー。美女と野獣だったら、美女が好き」
と言っていて、わかる〜と思った。
あなたはえっちだ、と言ったら、
「でしょ、しかもかわいい」
と言われて、それはもう最強。
「ねね、今度さあ」
「いいよ!」
まだ何も言ってないのに、オーケーするの、度量深すぎる。
かっこいい、好き。
コンビニの前で、ビールじゃんけん。
そのために働いているまである。
スクリューキャップワインのキャップの匂いを嗅いで、「ブショネしてる!」って言う。
ブショネしないよ。
青空。
薄い水色が好きで、天気のいい日は、つい空を見上げてしまう。真っ青な空も好きだけれど、ちょっと薄くて、なんだか優しい感じのする水色の空が好き。
太陽。
小学生の頃、太陽が好きで窓越しにずっと見てたら、涙めちゃめちゃ出てきた。
雨。
雨が降るたびに「言の葉の庭」を思い出して、映画もとてもよかったのだけれど、小説もまた、最高にエモくて大好き。
雨が降ってるとブルーな気持ちになることが多かったのだけれど、「言の葉の庭」のおかげで、ちょっとだけ好きになる。そして新宿御苑に行きたくなる。
ガードレールに腰掛けて、30分300円、駐車場空きありマスの看板を手に持つおっちゃん。どこ見てるのかよくわからない。
音楽は詳しくないけど、たぶんロックだよおっちゃん。
自転車でふたりのりしてる、おじいちゃんとおばあちゃん。
ただひたすらに和んで、思わず目で追ってしまう。でも交通違反だよ。
もっともっと、すてきなものがいっぱいある。
ずいじこうしん、しれっと増やしていく。