けいのさんはタイ人という話
本当にけいのさん(仮名)はすごいなあと思う。
お仕事をがんばっていて、負けてたまるかって気張って、イイ女になろうとしている。
そして何より、かわいい。
働いていないぼくには想像もつかないけれど、彼女は日々、仕事と戦っている。
すごいなあと思う。どうか無理だけはしないでほしいと思う。
23年モノのけいのさん。口癖は「スキ」と「何飲む?」と「照れる」
けいのさんとはよく飲むのだけれど、彼女にはとても迷惑をかけてきた。
ぼくがすごく不誠実なころから、けいのさんや周りの人にすごくお世話になっている。一度彼女とは疎遠になったのだけれど、けいのさんは根気よく、今もぼくと付き合ってくれている。
ぼくは改心した気でいる。今までは、結構人の気持ちとかどーでもよくて、遊べばいいじゃんって思っていた。けれどほっちゃん(仮名)に出会ってから、誠実であることの大切さを、強く知った気でいる。
もう間違えないのではないか。間違えたくないと、心から思う。
だからこれからもけいのさんと飲みたいなあと思った。
それを知ってか知らずか、最近はよくけいのさんに飲み会に誘われる。互いが知らない人を誘うせいでよくわからない飲み会になることも多いのだけれど、必ず、めちゃめちゃ楽しい。
彼女は、面白いこと、に主眼をおいてるから、だから一緒にいるのが楽しいのだろう。物事をとてもシンプルにみて、面白いか面白くないか、好きか嫌いかで判断するから、すごくわかりやすい。
我が道を行こうとする人だから、他人に何を言われたとしてもきっと、彼女は心の中で「うるせぇ」と言えるだけの強さを持っている。
持とうとしている。
持っているとぼくらに思わせるだけの覚悟がある。
そんなけいのさんはとてもとても魅力的だけれど、なぜだか異性として意識はできない。あおた(仮名)と付き合っているのも理由の一つだけれど、ポイントはそこではない気がする。
彼女は適当であろうとする。考えることもできるし、悩むことだってあるけれど、あえて適当であることで、けいのさんなりに生きやすくしようとしているのだと思う。
ぼくの予想でしかないから、違うかもしれないけれど、ぼくの目にはそう映っている。
すごくすてきだと思う。
ただ、ぼくと違うなと思った。
ぼくは重い。がっちりと言葉と言葉をぶつけあって、お互いの想いをさらけ出したいと思ってしまう。言葉をこねくりまわして考えて、せっかくけいのさんがシンプルにしようとしている世界を、複雑怪奇なものにしてしまう。ぼくらの世界はどうやったって重ならない。だからお互いがたまに交わって、あぁ、すごいなあ、心から応援したいなあって思いながら、お話がしたい。
そう思った。
彼女のあろうとする姿は、とてもかっこいい。ただぼくは、けいのさんが生きているだけで、それだけでいいなあと思った。