たけぴはインキャというはなし

アルバイト内で、キッチンとして入ってきた彼。
初めて会った時は、覚えていないぐらいに特に印象がない。

基本私はどんな人でも興味を持つようにしているし、
初対面の人のいいところを3つは言えるように心がけているはずなのだけれど。

強いて言えば、
今後私と仲良くなる可能性はゼロに近いんだろうな、と。
彼に笑顔で挨拶しながらそう思った。

だがある日の飲み会に初めて彼が来てくれた時、覚醒しているところを目にした。
というより、本性が見えたといえばいいのか、

お酒でテンションがおかしくなっている彼を見て、
"自分自身に似ているな"と思ってしまった。

シンパシーを感じてから仲良くなるのは早くて、何度も一緒にお酒を飲むような仲になった。

あおたと彼と3人で水族館もたくさん行ったし、なぜか週に5回会うときもあった。

人好きな彼と居るのはすごく楽しかったし、友達として好きと思ったけれど、
彼と私は全然似ていない部分があることにじわじわと気づいていった。


彼は人と会ってパワーをもらっている。すごく元気になっている。
だから自ら進んで人と会おうとしているし、すぐ色んな人と仲良くなれる。

でも私は、違う。人のことは大好きだけれど、自分のパワーを与えようと使いきって疲れてしまう。

全く逆の部分を持つ彼に、疲れてしまうことが続いていって。
それが理由もあって、彼とは一度距離を置いた。


その間どうやってまた会ったかさっぱり覚えていないけど、きっと人好きな部分はもちろん、
お酒とお酒。ときどきお酒が引き合わせたんだろう。

おかしいことに今日も彼と飲んでいる。

人が大好きで、きちんと自分の意見を持つ彼と。
わたしのことを素敵だな~と言ってくれる彼と。

全く違う部分を持つからこそ、お互いの良い部分を認め合い、こうやってまたお酒を飲みながら語り合うんだろう。

彼と初めて出会ったときの私に言いたい。
彼は陰キャラではなく、
熱い部分を隠れ持った隠キャラだ。

「飲むか~」という言葉をこれからも。
たけぴ、今日は何飲む?