言ったもの勝ちという話

人生って結構、言ったもん勝ちなところがある。

 

ホテルの予約のときだって、記念日なんです、って一言添えておくだけで、乾杯のドリンクや、部屋のアップグレードなどのサービスをしてくれることがある。

大学の授業だって、たとえ抽選に落ちて受けられなかったとしても、教授に、どうしてもこの授業を受けたいと言えば、すんなりと認められることもある。

まあと言っても、ぼくは経験したことないけれど。

 

ぼくがニュージーランドに行っていたころ、学校の行事で一週間のキャンプがあって、10人だけが行けるというものだった。そんな話きいていなかったから応募すらしていなくてもう締め切っていて、自慢をしている友人を恨めしげに見ていた。

授業を一週間もサボって大自然を満喫できるなんて羨ましすぎる。

ぼくはダメもとで、校長先生に言いにいった。どうしても行きたいです、って。

けれど、やっぱりダメだった。もう定員に達していて、どうしようもなかった。

 

けれどその次の日、ホームステイ先に電話がかかってきた。

ちょうどキャンセルが出たから、どうしても行きたいって言っていたYosukeに最初に知らせたわ、と。

ぼくは飛びあがって喜んだ。

そのキャンプは、ぼくの中でニュージーランドでの思い出の大きな部分を占めることとなる。

しかも異国に来てすぐの出来事だったので、キャンプのおかげで友人ができたのも大きかった。

 

言って後悔することよりも、言わないで後悔することの方が多いのではないかとぼくは思う。

言うことでどうしようもなくこじれたり、ややこしい話になることも多いけれど、ぼくは毎回、言ってよかったと思ってばかりだ。

 

昨日もインターンで、ぼくの営業電話でとったアポイントがあったのだけれど、アポに同行するのはダメだと社長に言われて行けずにいた。

絶対ためになるというか、面白い体験だと思っていたので、どうしても行きたかったぼくは、社員さんにその気持ちを伝えようとした。

一度軽めに言ったけれど、ダメだと言われて。

でも諦められなくて、もっと説得力のある理由を言葉にしようと思った。

しつこいって思われたらどうしよう、断られたらどうしよう、とか色々考えながら、ドキドキしてぼくは、一緒に行きたいということ、今後の営業電話の際も、実際にアポに同行した経験があればいきるものがあるはずだということを伝えた。

結果、アポに同行できた。

営業先の人と、社員さんがどういう風に話すのか、話の進め方や展開を間近にみて、すごくすごく面白かった。

 

ただ、むやみやたらに言えばいいのかというと、そうではない気がする。

ダメもとで、というのが重要なのである。

無理だとは思うけれど、一応ぼくはこう思ってますよ、というか、こうしてほしいですよ、というのを伝える。

その場ではたしかに断られるかもしれない。ダメとなることも多いだろう。

そんなときには、まあダメでもともとだったし、別にいっか、と思うことがよい。

そしてイケたときは、大げさなほど、うれしくなる。

 

少し意地の悪い話にはなるけれど、その場でダメだと言わせることは、相手にも負荷をかけている。

例えば、

レストランで、大事な会なのでできれば個室がいい。直前で難しいとは思うので、あくことがあったらお願いできたらうれしいです。

 

と言葉を添えると、もし個室があいていなかった場合、お店の過失ではないにも関わらず、断るという行為によって、少なからずお店側は負荷、罪悪感のようなものを感じることがある。

 

そうすると、次またダメもとで何かを頼んだ際に、いきてくるのだとぼくは思っている。

この考えはちょっと意地悪だけれど、ここで大事になってくるのは、結局言い方だろう。

思いやりのある言い方をできているか。じぶん本位になりすぎていないかを省みながら、言葉を選んで、気持ちや思っていることをすべて伝える。

 

心の中に留めて満足できるなら言わなくてもよいけれど、そうでないのなら、思ってることはすべて言った方がよいと、ぼくは思う。

 

言った者が、結果はどうあれ、じぶん自身に勝つのである。