5年後にまた会おう
人って変わるのかな。
ぼくは変わると思っている。
だから、人は離れたりくっついたりして。
それは悪いことなんかじゃなくて、歳をとるのと同じくらい自然なこと。
一年後のじぶんは、今のじぶんではないし、明日のじぶんさえ、今日とは違う。
でもたぶん、心が身体に追いつくのって、すこし時間がかかって、頭ではわかっているつもりなのだけれど、行動できないことって、たくさんあるのだと思う。
失敗して、後悔して、どうしもうなく嫌悪して。
そういうネガティブを通して、人はゆっくりと、革靴が足に馴染むみたいに、みずからの形を整えていくのだと思う。
5年後のじぶんは、もう今では想像できないようなじぶんな気がしている。
だって中学生の頃のじぶんが、20歳のじぶんを見たら、たぶんびっくりする。
同じくらい、きっと周りの人も変わるような気がした。
変わってしまって、喜んだり悲しんだり、寂しくなってしまう気がした。
読みかけの本に、しおりを挟んでみる。
5年後、開いたとき、ぼくは何を思うのだろうか。
きっと、挟んでいたしおりより、ちょっと前から読み返してしまって、なんなら最初からまた読み直してしまう。
今までのことを思い出しながら、この物語に続きがあることにちょっと安堵して、一枚一枚、ていねいにめくっていく。
そんな優しい再会になる予感が、たまらなくしている。